東映アニメーションは、「キャンディ・キャンディ」再放送、
ビデオ・DVDなどのソフト販売などを断念しました。


大変厳しい現実ですが、
もう放映当時のアニメーションの復活は絶望的です。
このことに関して、水木杏子さんのコメントを掲載します。

★信用を失うということ 2002-04-16 (Tue) 23:32:43

★正規品についてのことなど 2002-04-18 (Thu) 00:29:08





信用を失うということ ◆ 水木杏子 2002-04-16 (Tue) 23:32:43


みなさまには、いろいろとご心配をかけ通しで、切なくなってきます。

もともと、グッズについても展示についても
(偽物、キャッチセールス以外は)反対する気持ちはなかったのに・・・
考えうる最悪の形になったことでファンのみなさまにも申しわけなくて たまりません。

今回の<小樽美術館展示裁判>にしても相手方を<信頼>できればなんの問題もなかったことです。
4月23日の裁判にむけて我が弁護士諸氏は書面準備中なので、
ここにUPすることはまだ控えています
しかし、今回<小樽美術館>が”利用”されてしまったことは確かでしょう。
4月からの裁判が<小樽の展示期間>の7月には終わるはずもなく<展示>と<美術館で販売する小冊子>がこの裁判の目的と、思います。
<展示裁判>ならば、<倉敷、山中湖>の時に起こしていてもよかったはずです。

この事件は<不正ウイルス>が蔓延し、手の施しようがなくなってしまいました。

水木と東映アニメとはもう<契約関係>もなにもない立場ですが、この期に及んだオークションなどについて<東映>の苦しいお立場も理解できるので、僭越ですが記しておきます。

<東映>は作品については二次使用者の立場なので商標権を侵害されてもずっといがらしさんに対してはたいへん気を遣った対応だったと思います。
(しかし、商標権無効審判を起こされてからは、はっきりと対応が違っています)

<東映>は企業です。個人ではありません。そこが水木と全く立場の違う所です。
いくら侵害されても結果、<企業>として利益が上がればよいことなのです。
東映の利益とは<再放送(グッズが伴います)><海外への放映権><VDO,DVD販売>でしょう。

繰り返し書いてきましたが、東映のお考えは<地裁判決後>いがらしさんが控訴をあきらめれば<ダン、サンブライト>が勝手に作ったグッズの一部を引き取り販売してもよい、という姿勢でした。
つまり<不正品>を追認することで<正規品>に生まれ変わらせ<本当の不正品>を制圧する、というやり方です。
それができれば、ダン、サンブライト、タニイと契約してしまった業者も助かり、海外の不正品も摘発できると、わたしも賛成でした。

しかし、事は最高裁までもつれこんでしまいました。
その間業者(ダン、サンブライト)たちは、海外11カ国とも契約していたことが判明しました。
世界中こんなにも<グッズ、DVD>などが蔓延してしまったこと、疑われても仕方がないでしょう。
ここまでになってしまったならば、もう手の打ちようがありません。

東映は、アニメの再放送を断念しました。海外においてももう無理でしょう。
なぜなら、そういった<違法の摘発>をしたとしても企業たる東映にはなんの利益もないからです。(水木は個人なのでこの点もまた立場が違います)
海外の違法行為を摘発するには莫大な費用がかかります。
それだけ費用をかけても<再放送、販売>のあてがたたないとしたら、なんのための摘発か、と思われても当然でしょうね。

そういった<不正VDO,DVD>がなくならない限り、もう、アニメには望みがないのです。

日本においても、このように不正が蔓延したままだと、まっとうな企業は手を出しません。
なぜなら、正規にグッズを出しても「これは不正品かも」という消費者の厳しい視線があり、紛らわしさが残るからです。
そういったことがクリーン化(浄化)されるには時間と努力が必要です。

水木が漫画をはじめすべてを<白紙>に戻さなければならない、と考えたのも以上のような理由からです。
曖昧な形のままでいたら、近づいてくる業者は(失礼ながら)まっとうなところはないと思っています。

<キャンディ>という作品はこういった最悪の事態になってしまいました。

キャンディはわたしにとっても大切な作品でした。
それを白紙に戻すことがどんな気持ちなのかはもう、お話する気力もありません。

ここで曖昧な立場をとれば、そうしたちょっとしたほころびから、また、なにがはじまるか想像に難くないのです。
今後も、同じ姿勢は守るつもりです。


<信用>を失うということは、おそろしいことですね。




これについて、僭越ながらご説明します。


なんともやりきれないことですが、
この事件はいがらしさんが、「キャンディ・キャンディ」コミックスやイラスト集などを、原作者である水木杏子さんに無断・あるいは強行により香港を中心としたアジア諸国で発売したこと、国内でプリクラを設置したことなどから始まります。
イラスト集には水木さんが寄稿された詩も掲載されており、無断翻訳のうえ、原作者名を削られて出版されているのです。
そして、
アニメーションの権利やグッズの権利(これが文中に”商標権”という言葉で出てきます)を持っている東映アニメーションにも無断でグッズの製作販売をし、アジア諸国で出回る海賊版ソフトにも関係しているのでは?という疑いをいがらしさんは持たれているのです。
これが事実とすると、犯罪行為です。本来は、刑事告訴をされてもしかたありません。

しかし、いがらしゆみこさんは「キャンディ・キャンディ」の漫画作品のもう一方の著作権者です。そのため、東映さんはいがらしさんに大変に気を使い、刺激しないように対応をされてきました。
ところがいがらしさんは、
東映さんの持っているキャンディのグッズの権利は無効である、との裁判(”商標権無効審判”です。これは東映側の勝訴でした)を起こされたり、山中湖や倉敷の美術館などでキャンディグッズを無断で販売するなど、東映さんに対する権利侵害行為を止めなかったのです。

早期に裁判を終え、ことの終結にあたるべきであったのに、いがらしさん側は裁判を最高裁まで持ち込み、訴訟を引き伸ばすことをしてきたわけです。

そして最高裁で、
「キャンディの漫画作品については、原作者・作画者ともに同等の権利がある」「キャンディ・キャンディの原著作者(もともとの作品を作ったひと)は水木杏子さんである」

という判決がおりたあとも、ヤフーオークションやe-Bay、さらには南米のオークションなどで海賊版のビデオ・DVD・VDOが果てしなく出回っています。

東映さんは、販売用ビデオ・レンタル用のビデオを過去に販売されていますがすでに廃盤です。
今、出回っているものは全てにおいて海賊版ですが、香港や台湾などでつくられるものに関しては大変に捜査が困難であるそうです。また、中文訳だけでなく英語訳・スペイン語訳のものまで出てきてしまい、世界中を海賊版が制してしまった今…正規品を出しようもないのも理解できます。

東映が過去に正規に発売されていたビデオに関して掲載しておきました。
販売用・レンタル用のVHSがあるだけで、今まで正規品のDVDは製造販売はされていません。


「良貨は悪貨を駆逐する」の逆を行ってしまった、ということです。


正規品についてのことなど ◆ 水木杏子 2002-04-18 (Thu) 00:29:08


昨夕書き込みをしたことについて、もっと詳しくという声があり、また
Nilaさんの件もあってもう一度<正規品が不正品の制圧になるのか>ということについて書いておきます。

その前に大切なことは、まだ不正品についての裁判(業者裁判)が終わっていないということです。

・・・・・・・・・

確かに<正規品>を出し、はっきりと<不正品>と分けることができれば、それがいちばん制圧するよい方法かもしれません。
けれど、”だれが不正品”を摘発、また制圧してくれるのでしょうか。
その役目は<正規品の契約をした企業>なのです。
不正品が二つや三つならば、まだ可能でしょう。
しかし、このように<蔓延>してしまった不正品を制圧してまで<グッズ販売>をしたいという企業がいるのでしょうか。たいへんな労力、費用がかかります。


この掲示板などはファンが集まって下さっているので一見<日本中、世界中>がグッズをほしがっているという錯覚に陥ってしまいます。
けれど、現実はそう甘くはなく、やはり<キャンディ>は過去の作品なのです。

いがらしサイドから一審の間「著作権裁判は後回しにしてまず、ビジネスをさせてくれ(いがらしさんが受取った金額の2割を払うから)」といわれました。
その理由は「キャンディのファンが大人になって自由に買物ができる余裕ができている。この5年ほどがビジネスのチャンスと思う」ということでした。
むろん、そのような申し出はお断りしましたが、いがらしサイドはなかなかビジネスに対して先見の明があったのかもしれません。

5月21日は<業者裁判>の判決ですが、業者たちは<思ったより売れなかった>と主張しています。

アニメとグッズ販売は切り離すことができません。
再放送には劣化したフィルムをリニューアルするために一本何百万もの費用がかかると聞いています。その金額は<グッズのロイヤリティ>で東映はまかなわなければなりません。
(TVの再放送料などたかがしれているそうです)
そのグッズ契約が今までの不正の為、きちんとしたスポンサーがつかないかもしれない、ということが大きな問題なのです。

正規品を! といわれても(ちゃんとした会社からオファーがあるためには)やはり、作品が浄化されなければ無理なのです。

下記に書いたように、まっとうな企業は<裁判沙汰>を好まないでしょう。
わたしが5月の判決を心待ちにしていたのはその為です。
はやく<裁判沙汰>を終結させたかった・・・・
しかし、新たな裁判が始ってしまいました・・・。
残念でたまりません。


>みなさまに

いろいろなご意見を伺いたいと思います。
みなさまと交流できるのも限られてきました。ぜひ、心残りなくお話聞かせて下さい。

以前、この<掲示板において傷ついた>という方に、「なにかできますか?」伺いました。
まだ、なんのお話もありませんが、そのことも、おそれずにお話下さいね。



管理者注:Nilaさんは、ハワイ在住のキャンディ・ファンの方です。
「今、出回っている海賊版に関して品質のよいものと思っていない、だから正規品を出して欲しい…正規品の出ない状況では、e-Bayなどの紹介も止むを得ない」
というご主張をされていたかと思います。
それに対して、日本での翻訳ボランティアの方(水木先生のご見解を伝える立場の方です)は、

「違法品に手を出さないで、通報して欲しい。このまま違法品が流通したままでいると、いつまでたっても正規品を出せない。それはあなたたち海外ファンにとって自殺行為である…」
といったところを強く仰っていたかと思います。(事実と違いましたら、ご指摘をお願いします)




2002.6月で、水木杏子さんのホームページの掲示板は閉鎖ですが、
再び開かれることがありませんように・・・。





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